■落合博満「10・8決戦 執念の一打」

 イチローが200安打を放ったこの年、セ・リーグでは巨人と中日が最終戦を前に、まったくの同率首位で並び、「勝ったほうが優勝」というプロ野球史上初の大一番を迎えた。この試合で勝負強さを発揮したのが、前年オフに中日から移籍していた巨人の新4番、落合博満だった。落合のソロ本塁打で巨人は先制するも、すぐに同点に追いつかれる。3回表、松井のバントで二塁に送った走者を、落合がライト方向に落として執念の1点。

「先発した中日の今中にとっては“追いついた直後の落合さんの適時打がショックだった”。古巣相手、しかも“長嶋さんを胴上げする”と言って巨人入りしただけに、あの日の落合には鬼気迫るものがありました」(前出のベテランデスク)

 落合は続く3回裏、守備中の負傷で退場したが、結局、6対3で巨人が勝利して見事、優勝を果たした。「落合は、この試合前日、“明日負けたら俺、引退する”と信子夫人に告げたそうです。ただ、逆に“あんた、負けるつもりで名古屋に行くつもり?”とハッパをかけられた。さすが、ですよね(笑)」(夕刊紙プロ野球担当記者)

■バース、掛布、岡田「バックスクリーン3連発」

 85年4月17日、甲子園球場におけるバックスクリーン3連発。巨人の槙原寛己から、ランディ・バースの3ランを皮切りに、掛布雅之、岡田彰布とバックスクリーンにアーチをかけた。この3連発の勢いそのままに阪神は打ちまくり、リーグ優勝、そして日本一に輝いた。

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