■矢倉の重要性を読み切っていた加藤九段

 加藤九段は藤井棋聖がプロ入りを果たした翌年の17年5月17日、東京・三越本店の『大黄金展』に出席した際に、

「藤井さんが、これから先、タイトルを取るか、大成するかということを、みなさん注目している。結論から言うと私も先手番矢倉(の戦法)で名人にもなり、500回ぐらい勝った人間。我々、将棋界のトップは先手の矢倉でトップに立っている」「藤井さんが、これから先、先手の矢倉を熟達するとタイトル取れます。これが無関心だったらば、いけません」

 と、デビュー間もない少年にエールを送っていたわけが、この発言が今回、ものの見事に的中したことになる。

「加藤九段はデビュー戦からずっと藤井棋聖に注目していましたからね。今年の2月28日・3月6日号の『週刊ポスト』(小学館)では、藤井棋聖が加藤九段とデビュー戦を戦った後に、“おやつを取り出して食べたのを見て、その仕草が可愛らしいと思った”と述べたことに“14歳の少年棋士がわたくしの仕草を『可愛らしい』と表現したことに仰天しました。デビュー戦なのにすごい余裕です”と振り返っていました」(女性誌記者)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4