■所有者を争うときのポイント

 ペットの引き取りを巡って、夫婦間で揉めた場合、所有者を決めるときは何が争点になるのか

「1つ目のポイントは、婚姻時にペットの世話をしていたのは誰かということです。これは、物理的な世話や、ペットの購入代金や餌代、治療費、その他の費用を支払っていたのは誰か、などの総合的判断に基づきます。

 次に、離婚後にペットのための適切な環境を整えられるかどうか。こちらも、物理的な環境、適切な世話、ペットのための餌代や治療費、その他の費用を安定的に払い続けられるかどうかなどの総合的判断に基づきます。そして、ペットがどちらによりなついているかもポイントになります。こうした内容を考慮して、ペットの視点から適切な所有者を定めるのが望ましいです。

 先ほども述べましたが、引き取りを希望する側が、相手方にどれだけ支払えるか、または、ペット以外の財産分与をどうするかが交渉をまとめる材料となります。協議が難航するようであれば、弁護士に相談したり、家庭裁判所の調停を利用したりすることも、視野に入れて検討することが望まれます」

 人間の子どものように、面会交流はできるのだろうか

「法律では、特にペットとの面会交流は認められていません。しかし、離婚時に相手方の配偶者から面会交流への同意を得ていれば、可能となります。特に、所有権について争っている場合に、譲歩案として、面会交流を条件の一つに含め、相手方の配偶者がペットを引き取ることに合意するのも、一つの手です。

 ただし、合意がまとまった場合は、双方が記名押印する協議書を作成し、面会交流の頻度、場所、1回の面会の長さ、合意に反して面会交流に相手方が協力しない場合の取り決めなど、具体的に記載しておくことが望まれます」

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