■自分自身が抱え続けた「女性性嫌悪」

 冒頭から「表現」について、そして「文化やエンタメの意義」について語る彼女。20代で自らの劇団「□字ック」を立ち上げた当初は、「女性」をテーマにした舞台が多かったという。

「20代の頃は、”女性を描かなければいけないんだ“って思っていたところがありましたね。女性のあるがままの姿、普段は隠しているものを表現することで、”よくぞ言ってくれた“とお客さんが喜んでくれた。それで、ああ、私は女性を描いていくべきなんだ、と思ったのもあります。それと、もともと自分自身の女性性嫌悪がすごかったんですよ。男性とは対等でいられないし、女性としても劣っている存在だという思いが強かった。それが11月の映画『タイトル、拒絶』にもつながってくるんですが、そこから作品を重ねていくうちに、女性を描くというのは私自身の根幹ではあるものの究極、私は人間に向き合いたいんだな、という思いに行きついたんです。そう思えたときに、これまで避け続けてきた家族に30代になって向き合おうと思えたんですよね」

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