■「まずは、相手の正義を想像してみて、相手の正義を認める」

「たぶん、誰にでも優しさや正義があるはずなんです。ただ、人の声を聞く余裕があるかないかによって全然違ってくると思うんですよ。私が最近、残念だと思うのは、SNSで意見が違う投稿だったりとか、発信側がそういうイメージでいっていないのに、文字面だけ切りとって過剰に反応してしまうケースが増えている気がして。相手がどういう感情でそういう言葉をいっているかで受け手が相手のことを想像して咀嚼したほうがいいし、逆に受け手がどういうふうに思うかを発信側も想像して、本当に投稿していいのかどうか躊躇しなくてはいけないと思うんです。

 誰しもが、自分の主張をするときに、それはその人にとって正義だけど、ただ正義の在り方は人それぞれ違う。正義同士でもめているから、どっちも悪くないのに争いになっているように見えてしまうんです。それがきっと社会がうまいっていない理由なのかなと思いますね。時代は、いまいろいろなものごとがかわっていく転換期に入っているけど、そこがまだスムーズにいっていない。まずは、相手の正義を想像してみて、相手の正義を認める。それではじめて自分の正義も他者から認められると思うんですよね。家族も同じで、それこそ家族は最小単位の社会ですから、やはり相手の正義を理解することからはじめられればいいのかな、と思いますね」

 では、誰しもが「他者の正義」を認めるようになるには、どうしたらいいのだろうか。

「やっぱり経験は大事なんでしょうね。他者の正義を想像することを他者とのかかわりを経て感覚として知っていく。私も誰かを傷つけたこともあるし、逆に誰かにひどく傷つけられた経験もある。それらを作品にして消化できたから、今、こういうことを言えてるのもしれませんけどね。そういう意味では、トライエンドエラーも必要なのかな」

山田佳奈 やまだ・かな

1985年神奈川県生まれ。専門学校卒業後、レコード会社のプロモーターを経て、10年に劇団「ロ字ック」を旗揚げ。自ら脚本、演出を担当する。16年、映画『夜、逃げる』で監督・脚本を手がけ、19年にはNetflixオリジナルドラマ『全裸監督』では脚本を担当し話題になった。20年11月公開の映画『タイトル、拒絶』は公開前から話題になっている。10月23日発売の『されど家族、あらがえど家族、だから家族は』で小説家デビューを果たした。

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