井上小百合が「告白を見守る」役を演じた2つの個人PV【乃木坂46「個人PVという実験場」第10回 1/5】の画像
※画像は『乃木坂46 井上小百合ファースト写真集 存在』(光文社)より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第10回 特異な個性を持つドラマ型作品を担ってきた頃安祐良 1/5

井上小百合作品を多く監督

 乃木坂46の個人PV、特にドラマ型の作品を担ってきたクリエイターのなかでも、いくぶん特異な性質をもつのが頃安祐良という作家である。本連載でここまでとりあげてきた監督たちに比しても、頃安は作品や振る舞いの端々に、「アイドル」というものへの愛着をことに強くにじませる。それゆえ、作中には「アイドル」への思慕や信頼がときに鮮烈に、ときにいびつに込められ、そのスタイルが特有の個性になってきた。

 もっとも、頃安が監督した乃木坂46の個人PVを概観するときにまずうかがえるのは、秘めた思いが成就しない者たちのやるせなさをすくいとるドラマ作家としての特性である。そしてまた、彼は幾年にもわたって個人PVを受け持つなかで、乃木坂46屈指の芝居巧者たちとたびたび顔を合わせ、印象深いドラマをいくつも残してきた人物でもある。

 今春、乃木坂46を卒業した井上小百合は在籍時から俳優としての経験を豊富に重ね、グループを離れると同時に舞台演劇において際立った実績をもつシス・カンパニーに所属、乃木坂46メンバーのあゆむキャリアにとって、ひとつのモデルケースとなった。その井上が主演してきた個人PV/ペアPVのうちで、最も数多く監督を務めているのも頃安だった。

 頃安と井上最初のタッグは、9枚目シングル『夏のFree&Easy』に収録された井上の個人PV「ともだちのともだち」である。頃安が乃木坂46の個人PVで、初めてドラマ型の作品を手がけたのもこのときだ。

https://www.youtube.com/watch?v=myKhBXBDiWw
(※井上小百合個人PV「ともだちのともだち」予告編)

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