「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください」

 当時前田は映画の主演など外仕事も増え、AKB48自体も国民的グループとして成長していた時期に差し掛かっていた。一方で、AKB48の存在が認知されていくに従って、センターである前田に対する批判も目に見えて増えていった時期でもあった。この名言はそのような状況から生まれた発言である。

 自らを犠牲にしてでもAKB48を守っていくという前田の発言は、彼女に芽生えたセンターとしての自覚を十分に感じさせるものだった。このようにAKB48の活動のなかで、成長を続けていく前田の姿は多くのファンの心を掴んでいくことに成功したのだ。

 前田の変化がAKB48自身とファンを巻き込み10年代前半の一大ブームを作り出したとは大袈裟ではないだろう。

 そして彼女は2012年、AKB48を卒業し、現在は夢であった女優の道を歩んでいる。何にでも染め上げられる彼女の魅力が女優として花開くことを期待したい。

(文=川崎龍也)
 

アイドルセンター論

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