乃木坂46「個人PVという実験場」
第12回 今泉力哉作品が描く他者との関係性の築き方 4/4
■身近な人物の喪失を静かに描く
「恋愛映画の旗手」のように言い表されることも多い今泉力哉は、乃木坂46の個人PV/ペアPVでドラマ作品を手がける折にも、恋愛にまつわる要素を主題に織り込んだ作品を展開してきた。たとえばそれは、衛藤美彩と桜井玲香のペアPV「早春の発熱」(/articles/-/82240)であり、相楽伊織の個人PV「映画館バイトの恋」(/articles/-/82351)である。
もっとも、2014年に今泉が初めて監督を務めた個人PVでは、直接的に恋愛が登場するわけではない。けれども、そこで静かに描かれる感慨は、確かに彼の作品群と通底している。
https://www.youtube.com/watch?v=n2BPCyiRdlQ
(※齋藤飛鳥個人PV「水色の花」予告編)
齋藤演じる主人公が一人、誰もいない一軒家で風呂掃除をしているさまが淡々と描かれる本作。彼女自身の声によるナレーションで語られるのは、主人公がもうすぐ「結婚できる年齢になる」ことを起点にした思索である。