つらいけれど、病院に行くほどではと我慢しがちな肩の痛み。その原因は首にあった。長年の悩みを解決!
肩凝こりといえば腰痛と並ぶ「国民病」。厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査』によると、症状を訴える人は全体の8.6%に達し、1000万人が悩んでいる計算になる。中でも多いのが中高年だ。
「通勤電車でスマホを見ているからか、最近は特にひどい。頭痛や吐き気がすることも」(50代男性)
「本当につらいときは痛み止めを飲むか、マッサージに行くけど、効き目は一瞬だね。とっくに諦めているよ」(60代男性)
だが、整形外科医で竹谷内医院(東京都中央区)院長の竹谷内康修氏は、「治らないからといって放置するのは危険」と、警鐘を鳴らす。
「肩凝りは首の病気である頚椎症の初期段階であることが多いんです。悪化すると、首の痛みや腕の痺しびれにつながります」
頚椎というのは首を通る7つの骨のこと。肩凝りは首を支えている筋肉の緊張が原因だが、悪化すると痛みが起こり、頚椎を変形させてしまうという。
「人の頭は約5キロで、ボウリングのボールほどの重さがあります。首の骨や筋肉は、これを支えるようにできていますが、姿勢が前かがみになることで、首にかかる負荷が4〜5倍にもなります」(前同)
車の運転やデスクワークを長く続けると、知らないうちに悪い姿勢を取っていることが。そのうえ、スマホを使うことで首に負担を加えれば、痛みが生じる可能性は高まる。
「頚椎症は4段階に分けられます。肩や首の凝りはステージ1で、痛みを感じたらステージ2。すでに首の骨の関節などに炎症が起きている恐れも」(同)
首の骨は脳から伸びる神経(脊髄)の通り道になっていて、途中で手の動きや感覚を伝える神経が枝分かれしている。
「首の骨が押し潰されたりして、手に至る神経が圧迫されると、腕の痛みや痺れとなって現れます。これがステージ3です」(同)