10月21日に双葉社から新刊『パパが貴族』を上梓した、お笑いコンビ髭男爵の山田ルイ53世。本人によれば、本作は子育てエッセイではなく、娘に正体がバレまいとする日々を描いた防衛記録だという。スパイさながらのスリリングな、深すぎる思考に迫るインタビュー
ーー出版おめでとうございます。山田さんの公式YouTubeの動画『ルネラジ後記106』で、「原稿チェックで赤字が増えまくって、双葉社側が音を上げた」というエピソードを紹介していました。かなり気合いの入った作品なのでしょうか。
「担当編集の方と、忌憚のない意見をぶつけ合って煮詰めてきた本なので。赤字の話もそう。まず僕の手元にきた初稿のゲラ(原稿)に赤を入れるわけです。“修正だ”ってガーっと書き込んで。
大袈裟ではなく、もう1冊書き上げたんじゃないかというくらいの量の赤を入れてしまった(笑)。で、それを反映した第2稿が来る。それにも同じくらい赤を入れる。で、またそれを返して戻ってきたらまた同じ量の赤を入れて……。いや、我ながらおかしいし、もうよく分からない状況(笑)。“修正したんじゃないですか?”って担当編集が仰るのもごもっともで。
もう、毎回、“死体の横で書いてました?”ってくらい原稿が真っ赤に染まってました。
で、僕はもう1回(第4稿)できると思ってたんですけど、担当さんからメールが来て“何回お渡ししても赤が入るので、キリがないのでこれで最後でお願いします”と一方的に言われて終わったという。そういう本です(笑)」