■「褒めていただけるのは有難いですが……」
ーー今回の著書を読んでいると、語彙力が非常に巧みな印象を受けます。以前「星新一が好き」とコメントしていたこともありましたが、影響を受けた本や作家はありますか?
「星新一はもちろん好きですけど、そんな人一杯いるでしょ。全作品読んでますし、ショートショートじゃない作品も好きですね。
星新一って、お父さんが製薬会社を創業された方で。その人の半生というか一生みたいな本もあって、それも面白かった。
ただ、こういう取材のときに困ることがあって。
以前、『一発屋芸人列伝』(新潮社)とか『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)とか出版したときもそうだったんですが、インタビュアーの方が、理由付けをしたがる、背景を欲しがるなぁと。
“これだけ文章が書けるということは、さぞかし読書家なんでしょうね?”みたいに、アリバイを欲しがる。
“こういうオファーが来たから書いただけです”って答えると、妙に格好つけてる感じになってしまう(笑)。自分自身は物書きの“真似事”に過ぎないなあと思ってやってます。
だから、不本意ですね。
“読書家です”ってメディアに出てる人たちに比べたら、何も読んでないです。小さいときに図書館によく通っていたっていうのはありますけど、そんな人間もやっぱりごまんといるので」