■「“一発屋“の言葉に含まれる苦みは…」

ーーたぶん、長女のもーちゃんが中学生くらいのころですね。

「もしくは小3(笑)。やっぱりね、“一発屋”って言葉の中に含まれる苦みというか、負けや失敗の成分は、人生始まったばかりの小学生にはまだ早いと思うんですよ。サンマのお腹の黒いところ(ハラワタ)を食べるようなもので。大人になってからじゃないと、味わかんないじゃないですか。“一発屋”と自称したりしつつも、君たちを食わすためにいろいろ頑張っている。何かしらの分野では、なかなかの評価を頂くこともある……っていうのが、小二にわかるはずがないんで。

 で、それが分からないまま学校で“ウチのパパ髭男爵なんだよ”とか言ってみんなが“は?”ってなって。それで、子どもたちが家に帰って、

“モモちゃんのお父さんって髭男爵とか言ってたんだけど→(相手の親が)え、髭男爵なの!? 可哀想!→えっ?可哀想ってどういうこと?”

 みたいな(笑)」

ーー考え過ぎじゃないですか?

「親の不手際というか弱みで子供が不利益をこうむるのは避けたいですから。小学生レベルでは、咀嚼できないだろうな、この一発屋の概念はという。僕自身が恥じているわけではないですけど、子どもには早いな、ということですね」

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