乃木坂46「個人PVという実験場」
第15回 既存の表現を自身の表現とする方法論 1/5
■初期個人PVの中にある「パロディ」作品群
乃木坂46の個人PVは、現在でこそ各クリエイターの自由な発想を投じるショートフィルムの実験場的な足場を定着させている。とはいえ、デビュー当初の模索期にあっては、「何からどう自由であるのか」という方向性もまだ不確かだったはずだ。
2ndシングル『おいでシャンプー』と3rdシングル『走れ!Bicycle』に収録された個人PVにはそれぞれに、全作品を貫く統一テーマが設けられていたが、それもまた一定の方向づけを得るための枠組みだったはずだ。枠組みや縛りを持たない状態で、「自由」であろうとすることはとても困難である。
それら初期個人PVの中には、さらに具体的な枠組みを踏襲した作品、すなわち実在のコンテンツを明確にパロディないしオマージュしたものを見つけることができる。その代表が、『走れ!Bicycle』収録の生駒里奈個人PVだった。
https://www.youtube.com/watch?v=0TBTB0NmFmQ
(※生駒里奈個人PV「浅草」予告編)