■引き出しにしまった想いの重さが苦しい

 潤之介は、姉の麗子(菜々緒/32)に家を継ぐことを確認されて「まあ」と素っ気なく返答するのだが、気持ちが揺れていることは確かだ。自宅で仕事をしている合間に、世界最大規模のフォトコンテストの概要を見ているのだが、その顔はなんとも言えない憂いがあった。そ

 して、世界で活躍する理緒(倉科カナ/33)のスナップ写真に手を伸ばしてしまう。理緒は、潤之介の幼馴染で好きだった女性。付き合っていたのかまでは明らかになっていないが、心を揺さぶられるほどの存在だったことは明らかだ。その理緒はバイオリニストとして海外での活躍のチャンスを掴んでおり、奈未が所属する編集部で制作している雑誌『MIYAVI』のインタビューを受けることになっていた。

「夢って覚悟を持った瞬間に目的に変わると思うんです。私は夢を夢のままで終わらせたくなくて日本を出ることを決めました」

 とインタビューに答えた理緒は、美しく凛としていた。そして、『決断した自分に感謝している』といった話が続くのだが、まるで潤之介のことを好きだった気持ちも日本に置いていったと言っているように聞こえてならない。

 理緒は奈未との雑談で『昔すごい好きな人はいたんだけどね』と話しているのだが、これが潤之介であることは目に見えていて、次のシーンで潤之介が出た瞬間に、理緒と潤之介が引き合う時が来ることを予感させた。なんてタイミングだろう、本当に切なくなってしまう……。奈未は、理緒の好きだった人と、潤之介の想い続けている人、全部の点が線になるのを感じてしまう。それくらいに、理緒と潤之介の再開が衝撃的に演出されていた。

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