あるいは、9月1日更新分(https://taishu.jp/articles/-/81752)では遠藤さくらのドラマ型個人PV「わたしには、なにもない。」(23枚目シングル『Sing Out!』収録)を扱った。交際相手の男子生徒が部活やバンド活動などで充実した生活を送っているのに対して、遠藤演じる主人公は、自分には「なにもない」ことを引け目に感じている。やがてその状況を打開するために彼女は一つの大きな行動に出るが、それはやはりのちに続く「乃木坂46の遠藤さくら」の日々へと接続されてゆく。

https://www.youtube.com/watch?v=Q_o7HPaI4p0
(※遠藤さくら個人PV「わたしには、なにもない。」予告編)

 いずれの作品にも共通するのは、あくまでフィクションの体裁を保ちながら、乃木坂46のメンバーである演者自身の架空の前日譚として解釈できる作りになっていることである。また同時にこれらの個人PVは、伊藤は実働1年程度、遠藤は活動初年度と、いずれもキャリア初期の段階で制作されている。まだ芸能の入口にいる立場だからこそ、ごく近過去として前日譚を描いてみせる発想も自然に託されやすい。

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