■ミスタージャイアンツのすさまじさ

 一方、残した成績のすさまじさで清原のさらに上を行ったのがミスターだ。

 デビュー戦こそ、金田正一相手に“4連続三振”を食らったものの、そこからわずか数か月で、川上哲治に代わる巨人の4番に成長。終わってみれば、58年の打点&本塁打の二冠王にまでなってしまったのだから、さすがと言うほかない。

「新人でのフルイニング出場はセ・リーグ初の快挙でしたし、92打点は現在もセ新人の歴代最多。153安打も、19年に阪神・近本光司が更新するまではリーグ記録でした。しかも、走っても37盗塁をマークしていますから、かの有名な“本塁打での一塁ベース踏み忘れ事件”がなければ、史上唯一となる新人トリプルスリーも達成していたはずでした」(スポーツ紙デスク)

 ちなみに、そのミスターが監督時代に手塩にかけたゴジラこと松井秀喜の本格ブレイクは、プロ2年目だった。ルーキーイヤーの93年は57試合で打率2割2分3厘、11本塁打、27打点と、入団時点での高すぎる期待値からすると、やや物足りない成績に終わっている。前出の愛甲氏が解説する。

「スイングの速さと遠くへ飛ばす能力は最初からズバ抜けたものを持っていたけど、1年目はまだ脆さもあった。そういう意味でも長嶋さんやキヨとは、ちょっと違う。もちろん、その後に残した結果はド派手だったけど、同じ野球人から見ても、彼自身はけっしてスマートで華のあるタイプじゃなかったしね」

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