■胃炎や胃潰瘍と同じような症状で

 続いては、特に男性の罹患率が高いがんの初期症状を見ていこう。まずは胃がん。

「初期に出る胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振は、胃炎や胃潰瘍と同じような症状です。吐血や黒色便といった出血が見られるケースもありますが、それは潰瘍性病変を伴った胃がんの場合に見られます」(同)

 症状が同じだけに、胃炎や胃潰瘍だと思って受診したら、がんだったというケースも少なくないようだ。

 続いては、肺がん。

「肺の奥の部位にできる末梢型肺がんの場合、初期症状はまず出ません。対して、肺の入り口の太い気管支にできる中心型肺がんの場合は、咳や痰が出る。喀血や血痰が生じることもあります」(同)

 ちなみに、吐血と喀血は、口から血液を吐く点では同じだが、血の色が変わる。吐血は胃からの出血なので血が赤黒くなり、喀血は肺や気管支の出血で真っ赤な血となるのだ。

「咳や痰が2週間以上続くようだと要注意。風邪などが原因なら、2週間もすれば治りますからね」(同)

 次は大腸がん。初期症状はあまりなく、血便が貴重なサインとなるが、痔と勘違いして見過ごすケースも多いという。がん患者専門の『健康増進クリニック』院長(医学博士)の水上治氏は、こう解説する。

「痔の場合、血は便の表面に付着しているのに対し、大腸がんの場合は一般に便全体に、まだら模様でついています。でも、その差を判断するのは難しいかもしれません」

 いずれにせよ、血便を確認したら自己判断せず、受診するのがいいだろう。

「大腸がんの中でも肛門に近いS状結腸・直腸がんの場合は赤い血がつきますが、もっと奥の盲腸がん、上行結腸がんの場合は付着した便が出るまでに時間を要するので、黒色便が出ます」(前同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5