■五輪開催を強行すれば菅政権はより窮地へ

 共同通信社が4月10日から12日に実施した全国電話世論調査によると、東京五輪の7月開催に否定的な意見が7割以上を占めるという結果になった。

「そんな中にあって菅義偉首相(72)は、東京五輪を絶対に決行する姿勢を固めているといいます。その最大の理由は、国民やアスリートのためではなく“菅政権の存続”のためだと言われています。

 コロナ対策が後手後手に回り、菅首相と政権には批判が殺到。4月の菅政権の支持率は5か月ぶりに支持が不支持を上回りましたが、“支持しない”が44%ですからかわらず低い水準にあります。そんな中、菅政権浮上の唯一とも言えるチャンスが東京五輪の開催です。五輪開催で、政権の支持率が上がる可能性がありますからね。

 また、五輪開催で入る放映権料のことも大きい。世界中の放映権料を一括管理する国際オリンピック委員会(IOC)から、その約半分が日本オリンピック委員会(JOC)に支払われると言いますが、開催が叶わないと放映権料自体が発生しない。1000億円弱とも言われる莫大な金を失うことになるわけです」(前出の夕刊紙記者)

 2020年11月、来日したIOCのトーマス・バッハ会長から「世界的に見れば日本は感染者数が少ない。その日本で五輪が開けなければ、どの国でだってできない」と激励を受け、開催に向けて腹を固めた、という報道もある。

「五輪の開催が叶わなければ、IOCにも金が入らないわけですからね……。

 ただ、政権の悲願と言えども、これだけ国民から反発があり、さらに、世界的な影響力を持つメディア・ニューヨーク・タイムズからも“東京五輪が一大感染イベントになる”と警鐘を鳴らされていることもあり、このまま強行すれば、それが政権にとってマイナスに働くことも考えられる。

 いよいよ近いうちに菅首相が、五輪の開催中止を決断する可能性も高まってきているといいます。ただ、菅首相に先駆けて、小池百合子東京都知事(68)が“開催地の東京都としては大会の開催は難しいと判断しました。私から菅首相に伝えます”といったコメントを出すのではないか、ともささやかれていますね」(前同)

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