春風亭昇太「“落語一筋だった”ではなく、“好きなことやって死んだ”と言われたいんですよね(笑)」の画像
春風亭昇太

 国民的バラエティ番組を仕切る一方で舞台やドラマで活躍。さらに高座では爆笑をかっさらう永遠の青年を直撃!

 放送開始55周年を迎える国民的娯楽番組『笑点』(日本テレビ系)。その司会者・春風亭昇太師匠(61)がついに本誌に登場! コロナ禍で奮闘する落語界の現状、『笑点』にまつわる本音や爆笑秘話を披露してくれた(文中一部敬称略)。

――「5000円の花束よりも、3000円の商品券がもらえるようにしたい」

 故・桂歌丸の後任として「落語芸術協会」会長に就任した昇太が、「どんな落語界にしたいか」の質問にこう答え、同業者の称賛を浴びたのは2019年6月末のこと。それからわずか半年あまりで、世界は未曾有の事態を迎えた……。

 “なんてときに会長になっちゃたんだろう”。そんな感じですよね。寄席に出ているもう一つの団体『落語協会』さんとも連携しながらの感染対策の取り組みなど、会長として、やらなくちゃいけない仕事がものすごく増えました。

 お客さんの数を50%以下に制限しているので、収支面では苦しいんですが、寄席は落語家にとって修業の場であり、ホームグラウンドですから、大事にしなきゃいけない。その思いは両団体とも共通しています。

 ただ、寄席はエンタメ界の中では感染対策を取りやすいのかもしれません。出演者は多いですが、全員が舞台に上がることはないですから。各自が自分の出番に合わせてやってきて、終わったらさっさと帰っていく。みんなが仲いいわけじゃなし、密にならない(笑)。

 その点、『笑点』は事情が異なるので、いろいろな試行錯誤がありました。最初に緊急事態宣言が出たときは、リモート大喜利をやりましたが、あれは本当に大変だった(笑)。

 なにしろ、(林家)木久扇師匠、(三遊亭)好楽師匠、(三遊亭)小遊三師匠、(三遊亭)円楽師匠と、皆さん基本は70歳を過ぎたおじいちゃんですから、オンライン用の機械をうまくつなげない。時間になっても、いつも誰かいないんですよ。回線が切れたり、画面がフリーズしたり、なかなか全員がそろわなかった(笑)。

 それに、僕ら舞台人はお客さんの前だと気合いが入るものですが、自宅だと、そうはいかない。さっきまで寝転がっていたところで大喜利をやるわけで。一回、「皆さん、足元を見せてください」って抜き打ち検査をやったら、着物に着替えていても、誰も足袋をはいていなかったですからね。

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