■「クビか?」と心配された山田隆夫も

――昨年9月から、アクリル板を設置し、全員そろっての収録に。リモート機材はお役御免となり「いよいよクビか?」と心配された山田隆夫も、座布団運びに復帰した。現在、番組の“顔”となった昇太が『笑点』のレギュラーになったのは15年前。先代の三遊亭円楽の勇退で歌丸が司会に就任し、空いた席に座ることになった。

 実を言うと、お話をいただいたときは悩んだんです。というのも『笑点』って、キャラクターが決まっていくじゃないですか。好楽師匠なら“仕事がない”、円楽師匠は“腹黒”、三平さんが“七光り”とかね。

 そのキャラによって、落語がやりづらくなったケースが過去にあったという話も聞いていたんです。しかも、入ってみないと、自分がどんなキャラになるか分からないんですよ。

 僕の場合は(当代の)円楽師匠が、「昇太、結婚できないんだよ」と言ったのがウケて、みんながネタにするようになって、独身キャラが定着しました。

 結果的に『笑点』に出たことは僕にとって大きなプラスになりましたけど、最初は一種の賭けのようなもので、怖さもありました。

――だが昇太は19年に、59歳にして結婚を発表し、独身キャラを返上。現在は離婚ネタが定着している。

 でも、よく聞かれるんですよ。「『笑点』の人間関係で困ったことはないのか?」って(笑)。それがね、一度もないんです。

 小遊三師匠には昔からかわいがってもらっていましたし、(林家)たい平さんとは二人会をやったりして仲が良かった。他の方も所属団体が違っても、前座の頃から地方の公演でご一緒することが多かったんです。

 それに、歌丸師匠にはよくしていただきました。コントロールしようということではなく、常に全体を見て、いかに『笑点』が円滑に回るかを考えている、歌丸師匠はそんな人でした。

 僕は47歳と史上最高齢でレギュラー入りしたんですが、(林家)木久扇師匠が出始めた頃は20代だったんですよね。でも、番組が長く続いたので平均年齢が上がって、47歳の僕も全体の中では十分に後輩だった(笑)。だから、年齢は気にならなかったですね。

 ただ、今、20代の若手が加わったら大変かもしれませんね。相当なプレッシャーだし、周りに気を遣ってしまって。僕が司会になった後に(林家)三平さんが入りましたが、彼もすでに40代でしたし、落語界のプリンスだからこそ務められているのかもしれません。

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