丸山が監督した2013年の『世界で一番 孤独なLover』MVでは、滑走する自転車とともに渋谷~原宿エリアの街並みを見せ、各スポットで踊るメンバーたちを映し出す。後々までライブのキラーチューンとしても機能するこの楽曲のアグレッシブなイメージは、丸山の手がけた映像によるところも大きい。

■時代ごとに変化する渋谷を刻印

 ところで、自転車の滑走とともに街並みを映す同MVの発想は、本連載4月22日更新分(https://taishu.jp/articles/-/93890)で取り上げた桜井玲香の個人PV「都内名所」とも通底する。「ぶらり旅」を統一テーマにした同PVでは、渋谷をスタートしたのち、後楽園や東京駅、浅草・上野方面まで、細やかにカットを割りながら東京各地を見せてゆくものだった。

 その際にも言及したように、桜井が自転車で通り抜けてゆく東京の街並みの中には、当時復原工事中だった東京駅丸の内駅舎といった、今日すでに存在しない景色もある。常に変化し、作り変えられてゆく東京は、わずかな年月のうちに姿を大きく変える。

『世界で一番 孤独なLover』MVに映る景色もまた然り。通り過ぎる交差点の奥に見える「渋谷109」のビル上部に掲げられたロゴマークは、今日見ることのない旧式デザインのものであり、自転車がくぐり抜ける宮下公園も、今日の「ミヤシタパーク」が整備されるはるか以前の姿を留めている。

https://www.youtube.com/watch?v=dvF5g1rvt-c
(※「Wilderness world」MV)

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