■心優しい弁護士と瀬戸に涙が止まらない

 煙草を買いに行くと言って東大専科を後にした桜木だったが、実際は瀬戸の実家を救うべく動いていた。闇金の取り立てにしては横暴なやり口を実際に見ていたことに加え、非合法行為の証拠を突き付けて業務停止をチラつかせることで、借金の完済証明書と過払い金を取り戻してくれたのだ。いち視聴者としては期待していた通りの展開ではあったが、瀬戸を泳がせて世間の仕組みを分からせた上で解決させたところに感動がある。それはまるで父親のように遠くから見守り、大事なところで助けて支えてくれる心強いものだった。

 そして何といっても、瀬戸の涙にはもらい泣きをしてしまう程に心を揺さぶられた。バイトで借金を何とかしようとする瀬戸を、桜木が一喝して「社会の闇に消えそうなバカなガキ」になり下がらないように説得。瀬戸も我慢して頑張っていた気持ちがふくらみ、爆発するように声を荒げて涙を流すのだが、この涙を流すことさえ出来なかったことを思うと切なくなる。

 そして、桜木が立ち去った後、苦しみから解放された涙がまた美しかった。これは瀬戸にとっては人生の分岐点。演じる髙橋にとっても、俳優としての分岐点として今後大きく飛躍していくだろう未来を予感させた、素晴らしい演技だった。

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