■「ドラフト入団拒否」も

 そんな、顕著だった「セ・パの人気格差」を象徴したのが、首都圏のセ・リーグ球団を意味する“在京セ”志望を公言するアマ選手の増加だった。

「もし西武が参入していなかったら、格差はもっとひどくなっていたはず。パ・リーグの中でも、西武だけは待遇面はもちろん、ファンサービスの手法なんかもずっと、あか抜けていた。“在京セ”志望でも、“パなら西武”ってやつは、かなり多かったしね」(前同)

 人気格差の行きつく先が、パ球団における「ドラフト入団拒否」。90 年のドラフトでは、目玉だった亜大・小池秀郎投手に8球団が競合。皮肉にも「もっとも避けたい」と口にしていたロッテが交渉権を獲得し、結果、入団を拒否されている。

「まぁ、何かって言うと、すぐに乱闘になるし、それも見せかけじゃない本気のケンカ腰だったりしたから、パを敬遠したくなる気持ちも分からなくはない。目の肥えたコアなファンしか球場に来ないから、飛び交うヤジも辛辣で独特。イメージも、けっして明るくはなかったしね」(愛甲氏)

 ところで、愛甲氏が選手会長を務めた千葉移転直前のロッテは「テレビじゃ見れない川崎劇場」をキャッチフレーズに、集客キャンペーンを展開した。だが、この“テレビじゃ見れない”ことが、パ・リーグの独自色を強める一番の要因でもあったと、愛甲氏は語る。

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