■瀬戸と楓の微妙な関係にドキドキ

 楓のターニングポイントになるシーンには必ず瀬戸が関わっている。楓は気付いていないが、瀬戸はい つも遠くから近くから見守っていて、不利な状況にならないように働きかけている。楓がコンビニで万引きしたのを見ていた桜木を学園から追い出そうと嫌がらせを仕掛けたり、桜木の寝泊まりするテントから出火したボヤ騒ぎには放火犯に名乗りを上げ、高校最後の試合会場で気丈に振る舞いながらも寂しく立ち去る背中を見守り、東大模試の会場には待ち合わせをしたのか連れ立って教室に入るし、お昼の時間も一緒にお弁当を食べる。二人の関係がどのようなものなのか、幼馴染みだとか同じ中学だったとか過去設定が明かされていないが、瀬戸は楓が好きだし、楓は仲のいい男友だちに見ているように感じる。

 岩井(西垣匠/21)や小橋(西山潤/22)も楓を名前呼び捨てにしているが、瀬戸に対してはちょっと違う。心配や愚痴をこぼす相手は瀬戸だし、逆に瀬戸の実家に危機が迫っていた時には心配しつつも信じて待つくらいに信頼関係がある。そんな二人の関係にくさびを打ったのが、岩井と小橋が漏らした何気ない言葉だった。桜木と水野(長澤まさみ/33)に対する嫌がらせをしていたことを問いただされた時、「あれは楓のため」「楓がやばいって輝から聞いたから協力した」とサラリと明かしたのだ。

 楓が驚いた顔をして瀬戸を見るのだが、その時の瀬戸の表情にこっちまでムズムズしてしまう。楓のためだと知られて気まずい微妙な表情は、見ているこっちまで気持が伝染してきた。楓はどう思っただろうか…、微妙な空気を打ち消したのは楓の携帯に着信があって場が転換したからだ。それは東大を目指すことをまだ伝えることが出来ていない父親からの電話だった。

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