■下ネタの天才?

 リング上では寡黙なイメージが強かった三沢さんだが、素顔は下ネタを愛する、気さくな人でもあった。フリーアナウンサーの徳光和夫の次男で、三沢さんと親交が深かったタレントの徳光正行氏は、「酒の席での下ネタトークは鉄板だった」と語る。

「三沢さんは、上野や錦糸町といった庶民的な街の飲み屋の常連でした。よくご一緒させてもらいましたが、サラッと口にするから下品に感じない。これも三沢さんの“得意技”の一つだと思います」

 こうした下ネタはお互いの胸襟を開く、“人間関係の潤滑油”だったようだ。

「僕もさんざんイジられました。あれには参りましたが、三沢さんは、相手の特性をすぐに見抜いて笑い話に変える天才なんです」(前同)

 命懸けで闘うリングでの雄姿と、飾らない素顔。その魅力は多くの女性ファンの心を奪った。2代目タイガーマスク時代に結婚し、公表もしていたが、特に超世代軍時代の女性人気は圧倒的だった。会場には女性ファンが詰めかけ、声をからして三沢さんを応援した。

「一度、三沢さんとファンのハワイツアーに同行取材しましたが、ツアー客26人の大半が女性。最終日、ホノルル空港でハワイに残る三沢さんとの別れを惜しむ女性が次々と泣き出し、収拾がつかなくなってしまった。三沢さんも困り切って、最後は不機嫌になっていました(笑)」(前出の市瀬氏)

 また、義理堅く、仲間に愛され、後輩に慕われた。

「約束事は、相手が誰であれ、どんなに小さなことでも必ず守る。地位や肩書きでなく、人としてつきあう。だって、飲みの席で誘われたからって、区民体育館のママさんバレーに、ちゃんと参加するんです。そりゃ、女性にも男性にもモテますよね」(前出の徳光氏)

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