●横綱・日馬富士を見て!

――子どもの頃から力士を目指していたんですか?

豊 モンゴルにいた少年時代、テレビで相撲は見ていましたけど、力士の体がデカすぎて怖かったんですよ。それで、「相撲は絶対にイヤ!」と思って、レスリングをやっていました。ところが、日本の高校(日体大柏高)にレスリング留学したとき、課外授業で国技館に大相撲を観に行ったんです。そこで、横綱・日馬富士関が大きな力士に勝って、館内がすごく盛り上がるシーンを見たとき、「相撲って、こんなに面白いんだ!」と感じて。相撲をやる決意を固めたんです。

 レスリング部から相撲部に転部したんですが、その頃の体重は66キロ。強くなるために、体を大きくしなければと、3年生のときには、98キロまで増量しました。ちなみに、増量の秘訣はお茶漬け。するすると、ごはんが食べられるので、周りにも勧めています。

――それにしても急な方向転換に、叔父さんも驚いたでしょうね?

豊「おまえ、相撲できるのか!?」と言われましたけど(笑)、いろいろ話をつけてくれたのは叔父さんです。こんな言葉もかけてくれました。モンゴルのことわざで、「山の上じゃなくて、足の下の石を見ろ」。自分の足元をしっかり見据えるという意味だと思っています。

 高校を卒業して、部屋に入門するときは、「酒は飲んでも飲まれるな」とアドバイスをもらいました(笑)。今、僕は22歳で大学4年生の世代と同じなんですが、お酒はあまり飲まないほう。

 でも、叔父さんは22歳で横綱だったから、どれだけ、すごかったんだろう……と思ってしまいますね。

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