■ケネディ大統領が驚いた絶技

 同時代、キックボクシングの世界では、沢村忠(享年78)が必殺技“真空飛び膝蹴り”で、一大ブームを巻き起こしていた。

「抜群の跳躍力を生かして高くジャンプし、相手の頭部に膝を打ち込むという、見た目にもド派手なこの必殺技で、241戦232勝(228KO)5敗4分という大記録を打ち立てました。沢村を主人公としたテレビアニメ『キックの鬼』は、30%超えの高視聴率となり、爆発的な人気を集めました」(スポーツ紙デスク)

 また、武道、格闘技の世界の“達人”たちの必殺技も、各時代の少年たちに大きな夢を与えてきた。

「極真空手の創始者・大山倍達総裁(享年70)は、牛と闘い、手刀で自然石を割り、ビール瓶を真っ二つに切る、指で十円玉を折り曲げるなど、数々の伝説を残しています。そんな大山総裁の半生を描いた、梶原一騎原作の漫画『空手バカ一代』に登場する必殺技が“三角飛び”。壁や岩、リングロープなどへジャンプして反動をつけ、敵の死角から飛び蹴りを仕掛ける奇襲技で、米国修業時代に多くのレスラーやボクサーを倒してきたシーンが描かれ、読者を熱狂させました」(夕刊紙記者)

 また、合気道の世界で、“生ける伝説”といわれた塩田剛三(享年78)が繰り出す“神技”の数々、伝説的エピソードも、いつまでも我々の胸を熱くする。

「身長155センチ、体重45キロの小柄な体格ながら、向かってくる大男が次々と投げ飛ばされていく、超人的な演武を何度も見せています。62年には、日本を訪れた米国のケネディ大統領の前で演武を見せ、あまりに驚いた大統領が自分のボディガードとの手合わせを所望。屈強なボディガードの手首をつかむや、瞬時に制圧し、動けなくしてしまった。このときのことを、ケネディ大統領は、“まるでクモをピンで張りつけたように、苦もなく取り押さえられた”と、回顧録『世界訪問旅行』に記しました」(前同)

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