■「大人の話が一番退屈なんですよね(笑)」「“そっちでやってくれよ!”って。燃やしたから命!」

「この“ゾーン”についても、星野は“すごいそれわかる”としたうえで自身の演劇や音楽ライブの経験も踏まえ、“いろんなことを考えてるじゃないですか。バランスを取ろうと。社会的なところとか、あとは音楽だったら間違えないようにしようとか。次の歌詞を忘れないようにしようとか。なんか、そういうのが全部なくなって、ステージ側の自分とお客さんの間もなくなって全部アメーバ状になるっていうか……。なんていうんだろう? 「無」になるっていうか”“その時が一番、気持ちいいっていうか。それが一番なりたくて”と、若林に同意していました」(前出の女性誌記者)

 この一体感について2人とも「生きていて一番の喜び」としていたが、それだけに若林は、

「申し訳ないんだけど、ライブを終わった後のアーカイブ期間延長とかいう大人の話が一番退屈なんですよね(笑)」「“そっちでやってくれよ!”って。燃やしたから命!って思って(笑)」

 と語っていた。また、

松重豊さんともそういう話になったんですけど、それですごい共通の思いがあるんだと思って。それは演劇でも経験したことがあるし、ライブでもあって。あと、たまに作曲を1人でしてる時にも、そうなる時があるんですよ。なんか、壁が全部なくなって世の中と一旦、混ぜこぜになるっていうか」

 という星野の発言にも「うわあ、すげえ……会えてよかった星野さんに!」と若林は同意。

 つづけて、若林は藤沢周による00年の小説『オレンジ・アンド・タール』(光文社)が主人公がスケボーを飛んだ際の描写「世界から一時停止されている」と表現したことを踏まえ、「そういう瞬間をずっと心待ちにしているから……」と、熱弁していた。

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