■本番前の耳打ちだけで完ぺきな芸を披露

 このとき、松本は嫌々ながらもカンペ付きでちゃんとやろうとしていたが、浜田は「なんでやねん!」とすべき部分を「あ、そうでしたか」とするほどやる気がなく、事実上、松本1人でボケツッコミを両立する羽目になったうえ、視聴者が期待していたであろう名フレーズ、

「緑のカバンに500万入れて白の紙で黄色のカバン言うて書きながら赤のカバン言いながら置いてくれたら俺黒のカバン言いながら取りに行くわ」

 が、収録中に急にやってきた暴走族の爆音のせいでまったく聞こえない、というオチがついた。

 また、いまだに伝説とされているのが2010年の『リンカーン』(TBS系)の企画。さまぁ~ず雨上がり決死隊キャイ~ンらが登場し、さらに20年ぶりにダウンタウンがサプライズでNGKの吉本新喜劇に出演し、客席が揺れるほどの騒ぎになった企画だったのだが、この舞台袖で行われてたダウンタウンのやり取りが、コンビの絆の深さを感じさせるものだった。

「ダウンタウンの登場を煽りまくるリンカーンメンバーに、舞台袖で浜田が“やめろ!”、松本は“ホンマ最悪や! 俺(スベっても)知らんからな”としていた以外、2人は口をきいていなかったんですが、出番数秒前に、松本が浜田に小さな声で一言耳打ちしたんです。それに目も合わせず、OK、と浜田はつぶやいた。これがほんの一瞬の出来事でした」(専門誌記者)

 舞台に登場すると、二人は息を合わせて舞台をわちゃわちゃして動き回り、最後にキャイ~ンのポーズで締める一発ネタを披露。会場は大爆笑に包まれた。松本は舞台袖で「キャイ~ンでいこ」とだけ浜田に告げ、その一言だけで、息ぴったりのやり取りを見せたのだーー。

 ある日、NGKにサプライズでダウンタウンが登場し、漫才を見せる。その日は、意外と近いかもしれない。

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