■テレビの「崩壊は間近」

「CM明け後もこの話は続き、R-指定も“ヒップホップは聖人君子がやってるんじゃないぞ”という部分まではテレビでは伝わらず、逆にテレビに映っているのだから“”どこかそこはクリアしているもんなんや“と視聴者に思われてしまったのではないか、としていました。

 しかし、マツコはさらにヒップホップに限らず、日本の現状を“過渡期”として、テレビ業界の行く末や、問題点などを体験も踏まえてて真剣に語ったんです」(前出の女性誌記者)

 マツコは自分を「テレビ向きの人間じゃない」と分析し、そのうえで出られるように調整してくれたテレビ関係者には感謝しているとしつつも「それが自分の本質的なものだとはいまだに思ってないから。ヒップホップだけじゃないけど、いろんなものが実はテレビとなじみが悪いって、そういうことだと思うのよね」と切り出した。

 そして、過去のテレビは演出の力が大きく「一言で言えば全部ウソ」だった一方、現在のテレビは「リアリズムみたいなのが求められている中、本当のことをウソっぽく言うのがエンターテインメント」「人が笑ったりとか心が動くのって、変なことを言っているから動くんじゃん」と持論を展開すると、松永もこれに続いた。

「作り物なのに、本物だって出さないといけないし、受け手側は本物だと思って受け取るから、出る側は消費されるし。絶妙な機微だったり、長文じゃないと説明できない言葉をギュッとかいつままれると、まったく逆の意味になっちゃうリスクがあるからR-指定みたいに、言葉を丁寧に扱う人はリスクあるな」

 と、涙ながらに語ったのだ。

「そして、マツコはそんな現状を“崩壊は間近”“エンターテインメントが成立しなくなる”と厳しく指摘したんです。

“世に出て、人に触れて、メジャーになった途端に、表現っていうものがもはや存在しなくなるかもしれないのよ。矢面に立った瞬間に、これはピークなのよ。そこからもう消滅していくものがショーになっている”

 と、ブームが去ることも含めて消費されてしまっている、と冷静に語りました」(前同)

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