■“圧倒的強さ”を生む3つの秘密

 そんな藤井竜王の強さの秘密とは?

「まず“負けず嫌い”という性格がありますね。幼少時は対局で負けると、号泣して将棋盤から離れなかったという逸話も残っています。そして彼を支えているのは“将棋AIを用いた最新の研究法”を上手に活用していること。そして、常に将棋研究と向き合えるだけの“思考の持続力”を持ち合わせている。

 これら3つの理由が、藤井さんの圧倒的強さを生んでいるのではないでしょうか」(同)

 その強さから生まれたのが、数々のタイトル記録だ。現在、将棋界には8つのタイトルがあるが、2021年時点で、藤井竜王はすでにそのうちの4つを獲得している。

「2020年7月に、第91期棋聖戦を制して初タイトルである『棋聖』を獲得。この時の棋聖戦、第4局に出た“△3一銀”、いわゆる“AI越えの一手”は世間の注目を集めました。簡単に言うと、最強の将棋AIに6億手を読ませてみて初めて浮かび上がる最善手を、藤井さんは対局中のわずかな持ち時間で指した、というもの。これは、彼のケタ外れな強さを象徴する一手になりました。

 そして、同年8月に行われた第61期王位戦では、史上最年長タイトルホルダーで“中年の星”と称された、木村一基九段(48)相手に4連勝を果たし『王位』を奪取します」(同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5