一方、日本心臓財団公表の統計によると、脳疾患より圧倒的に突然死に至ってしまうケースが多いのが、心臓疾患だ。健康体の人で2.4倍、なんらかの病気を抱える人においては3.4倍にも達するという。

心臓疾患とは急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全などで、まとめて心臓病と呼ばれる。なかでも突然死に至ってしまうもので、前兆がわかりやすいとされていたのが、狭心症が元で起こる心筋梗塞だ。ここからは、循環器の専門医である大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授に解説してもらおう。

「狭心症の状態では、心臓の冠状動脈が狭くなっているため、体を動かすと血中酸素が不足し、胸部が激しい痛みや圧迫感に襲われます。それが心筋梗塞の前兆だと言われてきました」

ここで注意したいのは、心臓に問題を抱えているからといって、胸部周囲だけが痛くなるわけではないということ。「放散痛」といって、背中や腕や足、歯などといった心臓から離れた部位に痛みを感じることもあるのだ。この場合、心臓病の患者が整形外科や歯科にかかり、その間に症状が進行することもありうる。

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