1月17日、日本球界に訃報が届いた。
「『ドカベン』や『あぶさん』などで知られる、漫画家の水島新司さんが今月10日、肺炎のために亡くなった。半世紀以上にわたって漫画を通じて球界に多大な影響を与えてきた水島氏。訃報を受け、松坂大輔や上原浩治など、多くの球界関係者から追悼のコメントが寄せられています」(球界関係者)
水島新司さんは、1958年に18 歳で漫画家デビュー。以来、2020年に筆を折るまでの実に63年間、野球漫画を描き続け、多くの名作を残した。
「水島作品といえば、実在する野球選手が登場することでも有名。中には、水島作品に出ることを一つの目標にしていた選手もいたようです。ソフトバンクOBで、沢村賞投手でもある斉藤和巳も、“先生の漫画に出たことは自慢になった。チーム内でも自慢し合っていた”と明かしています」(漫画誌編集者)
また、作中で描かれた“5打席連続敬遠”や、“50歳の現役プロ投手”“二刀流”“高校最速163キロ”などの逸話は、のちに実現し、“予言者”と話題になった。
そんな水島さんにとって、特に思い入れが強かった球団がホークスだった。生前、親交の深かった福岡ソフトバンクホークス・王貞治球団会長も、こう追悼している。
「水島さんは、南海、ダイエーとホークスが弱いときに支えていただいたホークスの恩人です。私がホークスに来たときも、キャンプやグラウンドに来て熱心に応援していただきました。ホークスとは縁の深い人でしたので大変残念です。心から、ご冥福をお祈りいたします」
野球界に大きな功績を残した水島新司さん。本誌は、その功績への敬意と追悼の意も込めて、“親友”王貞治の2年目シーズンを振り返る。大好評シリーズ連載!(文中一部=敬称略)
昭和35年(1960年)、2年目のシーズンを迎えた王貞治。その眼前には、強力なライバルの姿があった。