■激闘の裏にあった“門限破り”

 王の2年目シーズンは、1年目から大きく飛躍を遂げた年だったと言える。130試合にフル出場し、打率.270は10位。17本塁打(5位)、71打点(3位)と、高卒2年目にしては上々の成績だった。

「(1年目で)やっとプロ野球はなんなのか、ということが分かった。そこに、木次さんの入団で刺激になった。木次さんとの競争は正直言って、キャンプで(決着が)ついた感じでした。しかしですよ、もし木次さんが早大の受験票を忘れていなかったら(注=木次は、これにより一浪して早大に入学)、卒業が僕と一緒になったわけで。そうしたら、巨人が僕を必要としただろうか……。そう考えると、僕は本当についている男ですね」(王氏)

 ライバル出現に奮起した2年目の王。激闘の裏で、19歳の王は“夜遊び”にも出かけていたという。

「一度宿舎に帰ってから、再び出かけるんですから、当然、戻りは門限を過ぎた夜中ですよ。そうすると玄関に折り紙が置いてあった。開くと、“帰ってきたら起こせ”と。(当時の)2軍監督の武宮敏明さんが書いたものです。“えっ”と思ったが、門限を大きく破ったのだから、しかたがない。酔っ払ったまま、武宮さんの部屋に行くと、待っていたのはもちろん、お説教ですよ。武宮さんは蚊帳の中だからいいが、我々は畳に正座です。足はしびれるし、蚊には食われる。それでも懲りずに、遊びに行きましたがね」(前同)

 2年目シーズンで、この世界で食っていけると感触をつかんだと話す王貞治。

 師・荒川博が巨人のコーチに就任し、二人三脚で挑んだ“一本足打法”に開眼するのは、もう少し後の話である。

■ルーキーイヤーに新人王に輝いた投手4人「2年目成績」

松坂大輔(27登板、14勝7敗、防御率3.97、144奪三振/西武=2000年)平成の怪物として西武に入団後、16勝5敗、防御率2.60の活躍を見せて新人王獲得。イチローとの初対決では3打席連続三振と抑え込んだ。2年目は防御率が悪化するも、最多勝と最多奪三振を獲得。

田中将大(25登板、9勝7敗、防御率3.49、159奪三振/楽天=2008年)11勝7敗、防御率3.82、196奪三振の好成績で新人王獲得。当時の野村克也監督は“マー君、神の子、不思議な子”と評した。2年目は9勝に終わるも、高卒新人40年ぶりとなる2年連続150奪三振を記録。

野茂英雄(31登板、17勝11敗、防御率3.05、287奪三振/近鉄=1991年)史上最多の8球団から1位指名を受け、近鉄に入団。当時の日本タイ記録となる1試合17奪三振を記録するなどの大活躍で、タイトルを総なめ。2年目は成績を落とすも、奪三振記録を何度も更新した。

堀内恒夫(23登板、12勝2敗、防御率2.17、82奪三振/巨人=1967年)プロ初登板から13連勝を記録するなど、16勝2敗、防御率1.39で沢村賞と新人王をダブル受賞。2年目は椎間板ヘルニアを患うも、ノーヒットノーラン、投手として初の3打席連続本塁打を記録した。

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