■松本が「グレー」を受け入れる転機となった出来事

『ごくせん』で松本の親友の不良“クマ”こと熊井輝夫を演じた脇知弘(41)は、20年8月21日の『文春オンライン』でこう語っている。

「たしかに最初はツンケンしてて、近寄りがたいなあって感じ。撮影が一旦止まって休憩になったら、一人そそくさと車に戻って台本を読んでるようなやつでしたね。でもそれも話数が進むにつれてどんどん打ち解けていきました。僕は一応一番仲が良い設定だったんで、頑張って話しかけた気がします……(笑)。そしたら徐々に話してくれるようになって」

 そんな松本が「グレー」を受け入れる転機となったのが、2011年の東日本大震災だったという。

「自分が言語化できるような考えに至ったのって、やっぱ東日本大震災の時で。華やかな世界で歌って踊ってパフォーマンスする人間が、今この瞬間には家から一歩も動くことができない。やっぱり自分たちは衣食住にはまったく必要ないものだと思ったんです。

 でも、衣食住がある程度ままある状況になったら、ふだんと違う感覚になれる要素が欲しい時に、初めて自分たちが”どうも”と言うのが伝わることなんだなって改めて思って。

 僕、彩りって言葉が好きなんすけど。その人の人生にとって本当にちょっとした彩りになる瞬間みたいなものを自分が提供できたらそんなに幸せなことはないといいますか」

 と、今回の対談で語っていた。

「あの震災は本当に多くの人に影響を与えましたからね……。嵐のメンバーである櫻井翔(40)も、『NEWSZERO(現:newszero)』日本テレビ系)でキャスターをしていることもあり、震災については3.11から10年後の21年に『Newsweek Japan』(CCCメディアハウス)3月16日号で、1万字の長編ドキュメント『櫻井翔と被災地の10年』を寄稿しています」(前同)

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