■ザ・ドリフターズが王者として君臨

 対するドリフは、アドリブに頼らず、徹底的に台本を練り込んで演じるコントで、55号に対抗。『8時だョ!全員集合』(TBS系)は長年にわたり、お笑い番組の王者として君臨した。

加藤茶のギャグは“うんこちんちん”や“ちょっとだけヨ~、あんたも好きねぇ”など、下ネタのオンパレード。俗悪番組と言われました」(松田氏)

 だが、子どもたちは、こぞって真似をした。

「子どもなりの反社会性の遊びだったんでしょう。この点こそがヒットの要因だと思います」(前同)

●志村けんのコミカルな動き一つ一つがギャグそのもの

 志村けんのギャグはというと、CMや人気歌手のパロディ、さらに「あんだ、バカヤロー!」「おこっちゃヤーヨ!」など、いかりや長介に対する反抗の意を示すものまで、幅広かった。

「今でも、じゃんけんの掛け声として一般的な“最初はグー”も、志村と仲本工事とのコント“ジャンケン決闘”から生まれたものです」(テレビ局関係者)

 志村のギャグというと「アイーン」を思い浮かべる人が多いかもしれないが、

「もともと、“アイーン”というセリフはなく、バカ殿のコントの中で、家老役のいかりやを威嚇するポーズに過ぎませんでした。腕と顎を突き出すポーズは“おこっちゃヤーヨ!”から派生したもの」(松田氏)

 では、このポーズに“アイーン”という言葉をあてたのは、誰だったのか。

バッファロー吾郎Aです。それをナインティナイン岡村隆史が覚えていて、志村との共演時に披露したのを、志村が取り入れたんです」(テレビ局関係者)

 志村のコミカルな動き、一つ一つがギャグそのものだということだろう。

 そんなメンバーたちを相手に、ツッコミ役を担っていたいかりやにも、「だめだこりゃ」という決めセリフギャグがあった。

「『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)のコントで、志村や加藤が好き放題に暴れ回り、呆然とするいかりやの“だめだこりゃ”がコントのオチとなる、笑いの新しいパターンでした」(同前)

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