■お笑いウルトラクイズで生まれた言葉
ダチョウ倶楽部の「聞いてないよォ」は、93年に大衆部門・銀賞を受賞した。
「『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日テレ系)で生まれた言葉でした。過激な企画内容を知らされておらず、寺門ジモンが思わずこぼした“聞いてないよ”がウケてギャグになった」(前出・テレビ局関係者)
本音で出た言葉が、あらかじめ知っていたのに3人が声をそろえて白々しく言うギャグになるのが面白い。
■一発屋が活躍
00年代になると、一発ギャグが流行した芸人が「一発屋」と呼ばれるようになり、新語・流行語大賞に選ばれることが増えてきた。
ダンディ坂野の「ゲッツ!」は03年に、小島よしおの「そんなの関係ねぇ」は07年にノミネート。
貴族キャラで人気となった、髭男爵の山田ルイ53世氏は、その誕生をこう話す。
「『爆笑!オンエアバトル』(NHK)や、『エンタの神様』(日本テレビ系)など、00年あたりから増えてきたネタ番組で、短い時間でインパクトを残すために、キャラクターを設定して、イメージにあった衣装を着て、登場とともに、キャラのアイコンとなるようなギャグやフレーズを言う芸人が増えていきました」
“ルネッサ~ンス”も、そんな時代背景で生まれたものだと語る山田氏だが、番組終了後の今も生き残っているギャグの理由を、こう見ている。
「ダンディさんや小島さん、スギちゃんあたりは、広告媒体でも活躍されています。それは“ゲッツ!”も“そんなの関係ねぇ”も、フレーズの使い方が決まっているだけに、前置きをはしょれますから、パッケージとして完成されてるんです。汎用性も高いですよね」
では、「ルネッサ~ンス」というギャグは、どのように生まれたのだろうか。
「貴族っぽい格好を始めてから、ヨーロッパをイメージするようなことをやろうとしたんです。フェンシングのサーベルで戦いながら漫才したり、バルコニーを作って、そこから下々の者を見下ろしながら漫才したり……。あれこれ模索して、たどり着いたんです」
ギャグには芸人の苦労と生き様が詰まっている。だからこそ、人に元気を与えるのだろう。嫌なことがあっても、居酒屋で「ルネッサ~ンス」と乾杯し、幸運を「ゲッツ!」しよう。