■ラニーニャ現象や北海道新幹線の開業が影を落とす

「赤道近くで海面水温が低くなる“ラニーニャ現象”によって、世界中で干ばつや洪水などが多発。農作物の収穫に影響しました」

 そのため、野菜が著しく値上がり。中でもタマネギは、東京市場の卸売価格が平年の3倍になるなど暴騰。収穫期だった昨年の秋に、北海道が干ばつだったことが主な原因だが、他にも理由があるという。

「6年前の北海道新幹線の開業が影を落としています。タマネギは貨物列車で本州に運ばれていましたが、青函トンネル内で新幹線と貨物列車がすれ違うと、風圧を受けて危険なため、輸送の一部が船やトラックに切り替わったんです」(前同)

 その船やトラックは、原油高騰の影響を受けやすい。つまり、今の“値上げ地獄”は何個もの要素が絡み合っており、容易に解消されないのだ。節約アドバイザーの丸山晴美氏が言う。

「スーパーで値上げを実感するのは、家計の味方といわれる、ニンジン、タマネギ、ジャガイモの値札を見たときです。今は新ジャガの季節ですが、今年は安くなっていません。家庭の食卓への影響は深刻ですね」

■魚、サラダ油やオリーブオイルも

 野菜だけでなく、魚も高い。総務省が発表した今年4月の消費者物価指数では、マグロが昨年同月比17%、サケは13%、ブリは15%値上がりしている。

「その理由も単純ではありません。地球温暖化や潮流の変化で、漁場が沖合いに移ったこと。漁師が不足して、人件費が上がったこと。そこに燃料費の高騰が重なりました」(前出の杉村氏)

 食材だけでなく、料理に欠かせない食用油も、“油”だけに(?)原油高の影響を受けやすい。

「日清オイリオ、昭和産業など各社は、7月1日納品分から、サラダ油やオリーブ油を一斉に値上げします。今回の値上げ幅は5~30%ですが、昨年以降、6回も値上げを繰り返しているため、年間を通した値上げ幅は、かなりのものです」(流通業界紙記者)

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