■守護神・大谷の現実味

 ちなみに、万が一“大谷ルール”が不採用となった場合は“守護神・大谷”が一気に現実味を増す。抑えであれば、“降板後は打席に立てない”といった心配をする必要がないからだ。

「16年のCSファイナルステージ第5戦で栗山監督は、指名打者で出場していた大谷に抑えを任せる“神采配”で、日本シリーズ出場を決めた過去もある。あの試合では、NPB最速記録を更新する165㌔を連発していましたからね」(前出のデスク)

 では、そんな大谷を含む投手陣の顔ぶれは、どうか。

■2年連続投手四冠&沢村賞!球界一の剛腕

 史上初となる、2年連続投手四冠&沢村賞に輝いた“球界一の剛腕”山本由伸(24=オリックス)。2年連続最多勝&最高勝率に、今季は最優秀防御率も奪取した青柳晃洋(28=阪神)は当確だろう。

 4月の完全試合もまだ記憶に新しい佐々木朗希(20=ロッテ)も、代表入りしそう。あの剛球が、現役大リーガーに、どこまで通用するのかも楽しみだ。

「多彩な変化球と球威を誇る山本はもちろん、青柳のような変則投法も、国際試合では有効です。佐々木も、あそこまでの速球とフォークを放れる投手は大リーグにもそういない。ストレートがシュート回転する悪いときのクセさえ出なければ、十分通用すると思いますよ」(薮田氏)

 ただ、WBCには「1試合65球以内(1次ラウンド)」といった厳格な球数制限がある。となれば必然、継投のタイミングが勝敗を左右する重要なカギとなる。

■軽打もこなせる選手が不可欠

「最大のポイントは“適応能力”。展開や流れが試合によって違う以上、いわゆる“第2先発”のような形での登板は、それが回の先頭からだとしても、通常の先発とは勝手がまったく違います。それだけに、難役の第2先発は、前も後ろも経験のある投手のほうが適している。その意味で、山本なんかは、うってつけだと思いますけどね」(前同)

 もっとも、意外な“ヒーロー”が生まれるのも短期決戦の醍醐味ではある。

 先の東京五輪でも、新人らしからぬ強心臓ぶりで伊藤大海(25=日本ハム)が大ブレイク。“追いロジン”は、今や代名詞ともなっている。

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