■京都の人々が愛する真っ黒な濃厚スープ

 第6位には「濃厚しょうゆ系京都ラーメン」(京都府)が選ばれた。

「真っ黒な濃厚しょうゆスープに、チャーシューや特産の九条ネギが山盛り。そのジャンクな見た目と味は、東京の『二郎系ラーメン』に通じるものがありますね」(前出の田沢氏)

 上品で淡泊な味の多い京都グルメ。一方で、こうしたジャンクな食べ物がひっそり存在することには、理由があるようだ。

「日本屈指の観光地のため、観光客向けの飲食店と、地元の人向けの店が完全に分かれているんです。だから、発見されにくい。もし本当に、ローカルな京都ラーメンを探すなら、観光エリアではなく、住宅街にある店を狙いましょう」(前同)

■濃厚なうま味を持つ老鶏を

 続く第5位は、京都ラーメン以上に地元密着型の「笠岡ラーメン」(岡山県)。

「笠岡市で養鶏業が盛んだった頃に誕生した、濃厚なうま味を持つ老鶏をスープや具に使ったしょうゆラーメンです」(前出の遠藤氏)

 県外では、なかなかお目にかかれないが、その味わいは、ラーメンマニアの間で伝説化している。

「特に味わってほしいのが、チャーシューの代わりに入った、カシワの煮鶏。噛み応えがあって、じわじわと口内にうま味が広がるので、酒の肴にピッタリ。本場の笠岡ラーメンを楽しむなら、ビールは欠かせませんね」(前同)

■トンコツ、鶏ガラ、ホタテ貝柱などうま味が絶妙

 表彰台まであと一歩の第4位は「函館塩ラーメン」(北海道)に決まった。農林水産省のウェブサイトでは、北海道の“郷土料理”としてラーメンが取り上げられるほど。全国区の「札幌みそ」と「旭川しょうゆ」が激しい争いを繰り広げているが、ラーメンの歴史を感じたいなら、函館塩の一択だと、遠藤氏は言う。

「中国から日本へラーメンが伝来した際、本場の塩味の動物性スープに獣臭さを感じた当時の日本人は、しょうゆタレなどを加えて改良しました。一方で、ロシアなど肉食文化圏と交流があった函館の人々は、動物性スープに抵抗感が少なく、そのまま塩味が残ったといわれています」

 そのスープは函館で日本式の進化を遂げ、より繊細な味となった。「トンコツ、鶏ガラ、ホタテ貝柱などのうま味が絶妙に合わさって、改めてスープのおいしさを実感できます。その滋味深さは、飲み会の後のシメの一杯に最適ですよ」(田沢氏)

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