■全99球中ストライク81球の凄さ

 さらに5月5日。敵地ボストンでのレッドソックス戦でも、独壇場は続く。

 この日の大谷は、3番・投手兼DH。フェンウェイ・パークで、先発投手が4番までの上位打線で出場するのは、それこそベーブ・ルース以来、103年ぶりの歴史的快挙でもあった。

「投げては、1試合自己最多となる29個もの空振りを奪って今季3勝目を挙げました。球場名物の“グリーンモンスター”直撃の適時打で、スコアボードにある“17”のパネルを落下させるなど、打つほうでも大いに観客を沸かせました」(スポーツ紙記者)

 さらに特筆すべきは、この日の投球内容だろう。

 前出の福島氏が「すさまじい」として、こう続ける。

「空振り率以上に目を見張ったのが、無四球で11三振を奪ったその制球力。7回まで投げた全99球のうちストライクは81球。率にして82%ですから、これはとんでもない数字です」

■名将マドン監督解任の緊急事態も

 ただ、その後、チームは前代未聞の泥沼連敗で急降下。よき理解者だった名将マドン監督が途中解任となる緊急事態にも見舞われた。

 だが、チームの危機を救ったのも、やはり大谷。舞台は6月9日、本拠地アナハイムにレッドソックスを迎えた一戦だった。

「14連敗は、球団ワースト記録です。彼自身も“自分が止めるという気持ちで”と振り返ったように、球速もその時点で最速の101マイル(約163キロ)を計測する気迫の込もった投球を披露しました。結果は自らも逆転2ランも放つなど、7回1失点で4勝目。これがフィル・ネビン監督代行にとっての初勝利ともなりました」(前同)

 トンネルを抜けたチームとともに、大谷自身も持てる能力をさらに解放する。

■1試合8打点、翌日2ケタ奪三振を記録!

 6月21日・22日の本拠地ロイヤルズ戦では、連日の偉業も成し遂げる。

「ロイヤルズは中地区最下位のチームではありましたが、乱打戦となった21日には、日本人選手では歴代最多の3ラン2本を含む1試合8打点。翌22日には、先発として8回無失点、自己最多13奪三振で6勝目と大車輪の活躍を見せました。1試合8打点の選手が、翌日の試合で2ケタ奪三振を記録するのは、言うまでもなく大リーグ史上初の快挙でした」(同)

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