■村上宗隆の“王貞治超え”クラスの偉業

 さらに、2ケタ奪三振はその後も途切れることなく、迎えた7月28日のレンジャーズ戦でも10K。6試合連続は、1995年の野茂英雄を超えて日本人歴代最長記録と、奪三振率ア・リーグ堂々トップの真価をいかんなく発揮した。

「これは史上初めて100マイルの壁を突破した伝説の速球王、かのノーラン・ライアンの持つ球団記録にあと“1”と迫る数字。もし更新できていれば、日本における村上宗隆の“王貞治超え”ぐらいの偉業でもありました」(同)

 そう語る福島氏が、今季の“ベストシーン”として挙げるのが、8月9日に行われた敵地オークランドでのアスレチックス戦だ。

「やはり名実ともにベーブ・ルース以来104年ぶりとなる2ケタ勝利&2ケタ本塁打。これは外せないでしょう。昨季から通算して7度目の挑戦にして、ようやくというところでもあっただけに、感慨深いものがありましたね」(同)

■日本人初!2年連続30本塁打

 続く8月31日。本拠地でのヤンキース戦では、日本人初の2年連続30本塁打。

 MVP争いのライバル、アーロン・ジャッジの前で存在感を見せつけた。

「直前の22日に、打者としては2年連続で規定打席にも到達し、この試合では中堅手を越えていく特大の逆転3ランを放ちました。大の苦手としてきたゲリット・コールから打った初の本塁打ということもあり、大谷自身も“最高の一発”と自画自賛していたほどでした」(同)

■ノーヒット・ノーランまであと4人!

 そして迎えたシーズン最終盤の9月29日、敵地でのアスレチックス戦。大谷はここでも、完全なる“消化試合”を熱狂に変えることとなる。

「8回2死、ノーヒット・ノーランまであと4人に迫る快投で15勝目を挙げました。相手は、すでに若手中心の起用で、チーム打率も30球団で最も低いアスレチックスでしたから、個人的には間違いなく“イケる”とも思いましたが、惜しくも達成はならず。もし最後まで投げ切っていれば、同時に規定投球回にも到達する、まさに記録的な偉業になっていたんですけどね」(同)

 あと一歩で伝説を作り損ねた大谷だが、続くシーズン最終戦のことである。

 10 月5日の同一カードで淡々と5回1失点の好投。これで、規定打席と投球回を同時にクリアするという、前人未到の高みに到達する。

「1900年以降の近代野球では誰も達成したことのない、文字通りの前人未到の大記録です。MVPに輝いた昨季の活躍を経ても“W到達は、さすがに無理”と言われていたぐらいですから、今季の成績もまた十二分に歴史的と言えますね」(同)

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