【パート2】特大ホームランから意表バントまで!世界を驚嘆させる“リアル二刀流”大谷 翔平「ショータイム」10選

「誰もが期待している場面で、当然のように、その上を行く。ひと言で言えば“大谷に始まって、大谷に終わる”。そんな印象さえ強くした大会でもあったよね」

 中継解説も務めた藪恵壹氏がこう舌を巻くように、大会MVPへと選出された大谷翔平の活躍は、まるで最初から筋書きがあったかのような“ショータイム”ばかりだった。

 その始まりは、いきなりの“二刀流凱旋”となった初戦の中国戦。投手兼3番DHで先発出場した大谷は、投手として4回無失点、打者として2点適時打を含む2安打と、リアル二刀流で実力を見せつけた。

「WBCは日本で二刀流を観られる貴重な機会。そのこともあってか、超満員かつ鳴り物応援も解禁されていたのに、マウンドに立った大谷が投球に入るたび、東京ドームが静まり返った。その光景はある種、異様な雰囲気を醸し出していました」(スポーツ紙記者)

 そして大谷は、「チームを投打に勢いづける活躍をしてくれると信じていた」と語った栗山監督の期待に、完璧に応えた。

「格下の中国打線にも手を抜くことなく全力投球。マスクを被った甲斐拓也(30)によれば、あの日の“宝刀”スライダーの変化は、文字通りの縦横無尽だったとか」(前同)

 続く韓国戦では、連夜のマルチ安打をマーク。3点リードした6回無死満塁の絶好機では、打球速度が160キロをゆうに超える、痛烈なタイムリー。因縁の宿敵を相手に、あわやコールドという大勝を呼び込んだ。

「ライバル・日本に大敗を喫した韓国の世論は当然のように荒れましたが、その後、メキシコとの準決勝を前にした会見で大谷の口から語られた熱い言葉には、さすがの韓国メディアも感嘆。その度量の大きさに称賛が集まりました」(スポーツジャーナリスト)

 この会見で大谷は、「(優勝することで)日本の子どもたちに野球の楽しさを伝えたいか」と聞かれ、「日本もそうですし、台湾、韓国、中国も、僕らが勝って優勝することで“次は自分たちも”という気持ちになるんじゃないか」と回答した。

「日本人記者からの問いにもかかわらず、すでに敗退した台湾や韓国、中国の名前をわざわざ挙げ、“アジア全体がもっと大きくなる”と語ったわけです。この発言によって、韓国では“大谷株”が急上昇。日本が優勝を決めた瞬間には、“野球はオオタニのもの”と最大級の賛辞も贈られています」(前同)

 そして、打者・大谷が本領を発揮したのが、4戦目のオーストラリア戦。待望の瞬間は初回、無死一・二塁で迎えた初打席に訪れた。

「ライトスタンドの上方、自身が出ている広告を直撃した豪快特大3ランは、主催のMLB公式サイトでは推定飛距離130メートル。元中日の“ディンゴ”こと、敵将のニルソン監督も“500フィート(約152メートル)は飛んだ”と脱帽の一発でした」(前出のデスク)

 そんな大谷の常人離れした打撃には、前出の藪氏も称賛を惜しまない。

「まさに反応で打った本塁打。いい意味での割り切りができている姿が、悩める村上とまさに対照的でした。たとえ凡退しても、前の打席を引きずらない。(対戦を重ねて打者が有利になる)周回効果でいずれ打てると確信しているような、余裕を感じましたよね」

 準々決勝のイタリア戦では、二度目の先発マウンドに。4回2/3を2失点にまとめ、勝ち投手。2回には今大会最速となる164キロもマークした。

 この試合では、MLBではけっして見られない珍しい“ショータイム”もあった。3回一死一塁の第2打席で、初球をセーフティバント。見事、意表をついて内野安打となり、岡本和真の3ランを呼び込んだ。

「実は日米通算10年のレギュラーシーズンで、大谷の犠打はゼロ。あれは“大谷シフト”を逆手に取った本人の判断でしょうが、今季から極端な守備シフトが禁止になるMLBでは、もう起こりえない。まさに“激レア”な一打でしたね」(前出のジャーナリスト)

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