【パート3】ハッスル全力プレイに日本中がトリコに!母親の地元・東松山も熱狂!市長が語る「ヌートバー」素顔

 侍ジャパンの今大会主役の一人が、初の日系選手、ラーズ・ヌートバーだろう。MLBでの実績が少ないため、当初は選出を疑問視する声も上がっていたが、「いざフタを開けてみれば攻守に大活躍で、日本中がすっかり“たっちゃん”フィーバーに。自身のユーチューブで“彼は必要ない”と酷評していた元巨人の高橋尚成氏が“炎上”する騒動まで起きました」(スポーツジャーナリスト)

 とりわけ大いに沸いたのが、母・久美子さんの故郷である埼玉県東松山市だ。

「ヌートバーのミドルネーム“タツジ”の由来ともなった祖父・榎田達治さんが、今も暮らしているとあって、街を挙げての大応援。商店街や市役所など、至る所に応援メッセージが飾られたほど」(前同)

 東松山市議も務めた達治さんは地元の名士。市議の後輩にあたる現市長の森田光一氏も「地元の盛り上がりは相当なもの」と話す。

「彼のお母様は、地元高校のソフトボール部で捕手として活躍した方ですが、当時バッテリーを組んでいた女性から“100着ほど作った”と、お手製のヌートバーTシャツを進呈していただきました」(森田氏)

 達治さんとは、最近もよく話しているという。

「今84歳ですが、とてもお元気なんです。孫の活躍には大喜びしていましたよ。“皆によくしてもらっているね”って」(前同)

 しかし、その彼が、これほどまでに日本のファンをトリコにしたのはなぜか。

 大リーグ評論家の福島良一氏は、「所属カージナルスでは、昨季から成績以上に人気者だった」と語る。

「日本と決勝を戦ったアメリカの主砲で、カージナルスの同僚であるアレナドは、“彼はいつも一生懸命だ”とプレースタイルを絶賛。キューバ戦に先発したウェインライトも“いつだって、彼はファンやチームを盛り上げてくれる”と存在の大きさを称えていました」

 彼の真面目で、ひたむきな性格は“日本人らしさ”とも言えるかもしれない。

「祖父の達治さんは、石のように実直な方なので、それが、お母様の久美子さんや孫のヌートバー選手にも受け継がれているんだと思います」(前出の森田氏)

 WBCでも常に全力プレーで我々を魅了したヌートバーだが、実は高校時代までは、アメフトでもスカウトが来るほどの“二刀流選手”だった。

「達治さんが以前、渡米した際に、彼はアメフトに夢中だったとか。アメフトにあまりなじみがないせいか、“野球をやってくれればいいのに”なんて嘆いていましたね(笑)。だから今は、相当うれしいはずですよ」(東松山市議)

 野球を選んだ彼は、ドラフト指名され、プロ入り。だが、コロナ禍でマイナーリーグが全休となった際には、“バイト生活”も経験するなど、苦労人でもあるのだ。

「コロナ禍の2年間でみっちりトレーニングを積んで、昨季は自身初の2ケタ本塁打。それまでの“非力”という評を一気に覆しました。持ち前の守備力と選球眼にパワーが加わったことで、近年は長打力も必要とされる一番打者の座をつかめたわけです」(福島氏)

 WBCでも斬り込み隊長として活躍。速球派投手の多いMLBでは珍しい“一本足打法”も特徴的だ。

「あのバットを担ぐフォームは、幼少期の彼に自ら野球の手ほどきをした母・久美子さんの現役当時にそっくりと、もっぱら。彼女は王貞治さんの一本足打法に憧れていたそうですから、ヌートバーには“昭和プロ野球”の遺伝子が残っているとも言えますね」(前出のスポーツジャーナリスト)

 まだまだ“たっちゃん”から目が離せない!

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