■小沢仁志「最強の漢が戦慄した“最恐ロケ地”車椅子に乗った少年が……」
“顔面凶器”の異名も持つコワモテ俳優の小沢仁志(61)。幽霊など、まったく信じてなさそうな雰囲気ながら、実は霊感があり、Vシネマの撮影現場でも、たびたび身の毛もよだつ恐怖体験をしていた!
俺が初めて、しっかりと霊を見たのは、八王子のほうにある廃病院。アクション映画の撮影などでもよく使う場所なんだけど、ここ、もともと精神病棟だったらしくてね。鉄格子の部屋なんかもあって、おどろおどろしい雰囲気なんだよ。
あるとき、休憩の合間、トイレに行こうとしたんだけど、病院内はやたら広くて、電気も通っていないから、真っ暗でさ。
気づくと、病院内で迷ってしまって、いつの間にか、鉄格子のある部屋の前に来ていたんだよ。
うわ、イヤだな……。
俺は昔から第六感みたいなものが強くて、嫌な予感も敏感に感じるんだよね。
早く、この場から立ち去らないと。きびすを返そうとしたときだった。
キィ、キィ、キィ……。
真っ暗な廊下の向こうから、何か軋むような音が聞こえてきたんだ。しかも、その奇妙な音は明らかに、こっちに近づいて来る。
すると、暗い廊下の向こう空間がゆがんでいるというか、黒いモヤみたいなものが見えてきたんだ。
そのまま眺めていると、15メートルほど先に、車椅子に乗った少年が近づいて来るのが、ぼんやりと見える。
出たー!
霊を見たのはそれが初めて。しかも、“見えている”ことが幽霊に分かると、話しかけられるって言うじゃない?
だから、絶対に目を合わせないようにして、すぐに、その場から離れた。
だけど、外の簡易トイレに行っても、上から“誰か”が見ているんだよ……。
撮影中も、霊が、ちょいちょいイタズラしやがって。銃撃戦のシーンなのに、共演者が全然、発砲できなくなったりするわけ。俺が持参した粗塩を銃にぶっかけると、とたんに撃てるようになったこともあったね。
ただ、俺に言わせりゃ幽霊よりも怖いのが人間よ。それも生き霊だね。
俺たちの業界って、生き残りをかけたサバイバルレースだからさ。同業者から妬まれて、生き霊を飛ばされることもよくあるんだよ。
どうにも最近、調子が悪い。スッキリしないなぁ、というときはだいたい、誰かが生き霊を飛ばしているね。
そういうときは「誰だ! 生き霊を飛ばしやがって!」と、気合いではじき返すようにしているよ。
ちなみに、生き霊を飛ばした奴ははじき返されると、10倍返しになるらしい。
実際、生き霊をはじき返して「急に楽になったな。やはり生き霊だったか」と思っていたら、その翌日、「あいつ、急に心臓が悪くなって入院したらしいよ」って話を聞いてさ。ということは、「俺に飛ばしてたのは、あいつかよ!」って判明したこともあった。要は、気合いが大事ってことだよ。
俳優の中には霊感はないのにおばけが好きな奴も多いね。その一人が原田龍二。
彼のやってる心霊番組(ユーチューブ『原田龍二の「ニンゲンTV」』)にゲストで呼ばれたことがあったんだけど、撮影場所が一軒家のハウススタジオなの。入った瞬間、嫌な予感がしてさ。
「なんで、こんな所、借りた?」と聞いたら、「ここ、おじいさんとおばあさんが自殺している事故物件なんです!」って。そんな所でやるなっつーの!
龍二は気づいてなかったんだけど、彼の後ろに日本人形が置いてあって。
「嫌な感じは、これか!」と思っていたら、その人形、床の間から真正面を見てないといけないのに、はすを見ているんだよね……。
中には、お節介な霊もいるんだよ。俺が家で一人飲んでいると、テーブルが傾いているわけでもないのに、勝手に飲みかけの缶チューハイがスーッと滑っていくんだ。
「飲みすぎ!」って言われてるのかな(笑)。