■切腹を歓迎していた

 ただ、本作ではラブラブな夫婦として描かれた家康と築山殿。切腹が決まった妻を、夫は逃がそうとする。

 だが実際には、家康は、切腹を歓迎していた、という見方まであるという。

「家康のいる浜松の家臣と、築山殿のいる岡崎の家臣の間でいざこざがあり、家康は岡崎を、なんとかしたいと考えた。そのタイミングで謀反の疑いが出たので、家康は切腹に向けて、自発的に動いた可能性もあるんです」(前出の跡部氏)

■北川景子お市の恋心は嘘かまことか?

 そんな築山殿と並ぶ、本作の重要女性キャラが、信長の妹、お市(北川景子)。彼女は浅井長政に嫁ぐが、本作では家康と幼少期に出会って以来、互いに、ほのかな恋心を持ち続けて……という設定になっている。

「幼少期の家康は、織田方の人質として熱田にいました。当時の織田の居城は清須なので、だいぶ距離が離れている。人質である家康と会うことがそもそもありえませんし、地理的にも難しかったはず」(前同)

 家康とお市のロマンスは、『どうする〜』独自の“ファンタジー”だったようだ。

「そもそも、お市に関しては、記録がほとんど残っていません。それもあって、これまでの大河ドラマでも、いいように描かれてきました。証拠がなければ、いくらでも脚色できるというわけですね」(加来氏)

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