■秋田料理きりたんぽが!
パイオニア型は他にも。第8位に選ばれた、『秋田おでん』も、それ。甘い味つけの煮物風おでんが広く親しまれている秋田だが、一部の飲食店では、それとは一線を画す、高級おでんが提供されているという。前出の柳生氏が言う。
「伝統の魚醤のしょっつるが隠し味の、無添加の一番だしが特徴。また、県魚であるハタハタ入りの自家製さつま揚げや、秋田料理のきりたんぽが入ったお揚げの巾着など、郷土色のある具もたくさん入っていて、非常にぜいたく。秋田の地酒と合わせて楽しめば、夢見心地ですよ」
■独自のつけダレも魅力
おでんのもう一つの魅力が、独自のつけダレだろう。各地には、具やスープのうま味を引き立てる、絶品のつけダレが存在する。その一つが、第7位、香川県の『高松風おでん』だ。
「おでんコーナーがある讃岐うどん店が多く、おでんとビールで晩酌しながら、うどんができあがるのを待つのが、日常の光景です。そんなおでんコーナーには、からしが入った白みそと、砂糖で味つけした赤みその2種のタレがあり、お好みで選べるのがうれしいです」(グルメ雑誌記者)
また、前出の椿氏は、家でおでんを食べる際にマネできる、香川流の食べ方を教えてくれた。
「香川には、余った煮物を天ぷらにする食文化があって、その派生形で、おでんの大根を天ぷらにするんですね。サクサクの衣の中から、大根にしみただしがジュワッとあふれて絶品。おでんが食べ切れなかった際は一度、試してください」
■青のり風味バツグン
続く第6位は、『静岡風おでん』。イワシやカツオの粉と青のりを合わせた、だし粉をかけて食べるのが特徴で、また、牛すじなどを煮込んだ真っ黒いスープもインパクト大だ。
「青のりの風味が強く、どこか懐かしさを覚える味わい。駄菓子屋でも売っていて、おやつ代わりに子どもの頃から慣れ親しんでいる県民も多いんだとか。また、青魚を骨ごとすり身にした黒はんぺんも、練り物好きは見逃せませんね」(地方情報誌記者)