■本気か冗談か!?天才の言動

 もちろん、かつての“教え子”でも、それは同じ。ミスターのご指名で各地の野球教室に同行することもあったせんだ氏は、こんな光景も目撃している。

「約束の時間まで少し時間があったから近くの神社にお参りでもしよう、となってね。そしたら犬の散歩で偶然通りかかった柳田真宏さんが、こちらに気づいて挨拶をしに来てくれて。巨人の4番も張った方だから、当然僕はすぐ分かったけど、長嶋さんは“何、せんちゃんのお知り合い?”。それどころか、柳田さんの肩を触って“いい身体してますねぇ。何かスポーツをやってたんですか?”って(笑)」

 とはいえ、サービス精神旺盛なミスターのこと。どこまでが本気で、どこからが冗談なのかの判別が難しい場面も多々あった。

■徳光和夫「結婚式で…」

 徳光和夫氏は、自身が司会を務めた、とある結婚式でのミスターとのやりとりを述懐する。

「その式では長嶋さんが乾杯の発声をされる予定だったんですけど、体調を崩されて、やむなく途中で帰られることになったんです。後日、“あのときは大変でしたね。熱は何度だったんですか”と聞いたら、返ってきた答えは“3割7分8厘”。ご病気をされたあとで、口調も滑らかとはいかない中でも、サラッと茶目っ気を見せてくれる。報道陣に対しても、そういう部分はあったはずです」

■熱海の秘宝館ギャグを

 一方、せんだ氏は、ミスターが自らギャグを放つという激レアすぎる場面にも立ち会っている。実は歴史や絵画が好きだというミスターが、美術館を話題にしたときのこと。

「“ルーブルはいいですね。上野の西洋美術館にも一度行ったことがあります”に続けて、ちょっと間を置いて、“でも、やっぱり一番は、あそこですね……熱海の秘宝館”って(笑)。言い終わったあとで、自分でも照れながら“せんちゃん、今の、どう?”なんて聞いてくるんですから、もう、たまんないでしょう!」

■映画が苦手

 ちなみに、同じ娯楽でも大の“せっかち”であるミスターは映画が苦手。ミスターが、せんだ氏と友人と3人で映画館に行った際には、上映開始から10分もしないうちに退場してしまったという。

「名探偵ポワロが主人公の映画だったと思うけど、追いかけて“どうしたんですか”と聞いたら、“もう(犯人が)分かった”と。おそらく、その場でジッとしているのに耐えられなくなったんだと思います。ふだんから本当にせっかちで、ゴルフ場で一緒に風呂に入ったときも、防水仕様の電気シェーバーを片手に持ってヒゲを剃りながら、もう一方で同時にシャンプーもしていて、ビックリさせられましたしね(笑)」

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