昨シーズン、投手として、10勝9敗、防御率3・14を記録。打者としては44本塁打でホームラン王にも輝き、自身2度目のMVPを獲得した、大谷翔平。 まさに最高のシーズンだったと思えるが、彼が見据える来シーズンはそれを上回る快進撃が期待される。
■60本塁打&三冠王&M V P達成の根拠
赤から青へ。今季は右肘のケガの影響で打者に専念する大谷翔平(29)が、新天地ドジャースで順調な仕上がりを見せている。
「キャンプイン後、3度目となった16日の屋外フリー打撃では、26スイングで5連続を含む圧巻の13発の柵越え。手術明けとは思えない推定飛距離150メートルの特大弾まで放ちました。そのケタ違いのパワーに、そばで見ていたデーブ・ロバーツ監督も大笑いで興奮を隠しきれない様子でしたね」(スポーツ紙元デスク)
そう聞くと、膨らむのは大リーグ12年ぶりの三冠王と2年連続3度目となるMVPの“W獲り”への期待。二刀流だった昨季でさえ、一時は射程圏内だっただけに、今季は、さらに現実味が増してきそうだが……。
自身もナ・リーグ西地区のジャイアンツなどでプレーした藪恵壹氏は、「大爆発のシーズンになる」と明言したうえで、こう続ける。
「投げることを考えなくていいというのは、打者・大谷にとっては相当大きなアドバンテージ。障壁となるのは、もはや故障離脱ぐらい。しかも、同地区で対戦することも多いロッキーズの本拠地は、標高の高さから打球がよく飛び“打者天国”と称されるクアーズ・フィールド。当人も、誰も予想しないような、前人未踏の成績を狙うはずです」
■データの裏付け
では、データは、それを裏付けるだろうか。データサイト『ファングラフス』の来季成績予測を基に解説してくれるのは、ジャパンベースボールデータ社のアナリスト・大南淳氏。
「現状、大谷は打点部門で1位。本塁打でロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス=26)、フェルナンド・タティスJr.(パドレス=25)に次いで3位。打率1位に挙がるルイス・アラエス(マーリンズ=26)も予測は3割9厘ですから、大谷自身の成績が上振れしてくれば三冠王も十分、視野には入ってくるはずです」
ただ、一つネックになるのがMVPの最重要指標で、打撃、守備の面からの貢献度を示す“WAR”の存在。大南氏によれば、昨季までのような投手での貢献が無く、実質“DH専門”となる大谷には、不利に働く可能性もあるのだとか。
「DH専任の選手がMVPを獲った例は過去に一度もありませんし、投手での貢献が見込めない今季の大谷も、MVP予想では、上位20位以内にも入れていないのが実情です」(前同)
■温暖な気候も味方
ただ、彼が打者として去年並みかそれ以上の成績を残せば、間違いなく有力候補の一人だ。
「“前例”を覆してきた大谷翔平ですから、どのような成績になるのか、見当がつきません」(同)
ちなみに、大谷には本拠地ロサンゼルス特有の温暖な気候も味方する。日米の野球に精通するジャーナリスト、ロバート・ホワイティング氏も『夕刊フジ』の連載で、「大谷翔平に高温が味方する」と題したコラムを寄稿した。
「そのコラムによれば、気温30度以上の空気中で打った打球は、10度以下のそれに比べて、およそ5メートル近く飛距離が伸びるとのこと。夏場の“打高投低”は日本でも顕著な傾向ですが、大リーグ球団のある都市の中でもロサンゼルスの暑さは指折り。この暑さが大谷を後押しする、というわけです」(スポーツライター)
実際、今季7〜8月の試合日程を見ると、7月1日からの50試合中、実に28試合が本拠地開催だ。今季は、“夏男”大谷にとって、60本塁打達成の、またとない機会になりそうだ。
「ビジターに関しても、同じく暑いセントルイスのカージナルス戦が3試合。本塁打の出やすいフィリーズのフィラデルフィア、ブリュワーズのミルウォーキー、アストロズのヒューストンで計10試合が組まれている。ケガでの離脱がなければ“大爆発”も十分、期待できますよ」(前出の大南氏)