■ビートたけしのスポーツ大将で身体能力の高さを発揮

 過酷な体当たり芸で心身を鍛えたからか、85年放送開始の『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日系)では、たけし軍団はその身体能力の高さを発揮した。

「軍団チームは、阪神やロッテにも野球で勝利するほどの実力。また、番組企画で、軍団が日本ハムの入団テストを受けたところ、井手らっきょが100メートル走で11秒ジャストの記録を叩き出して合格したのも、すごい」(前出のテレビ局員)

 乱闘が起こるといつの間にか輪の中心でもみくちゃになり、全裸で出てくる「お約束」もおなじみの井手だが、名球会チームとの対戦後に一騒動を起こしていた。

「試合後に、みんなが樽を囲んで、鏡割りをしたときのこと。樽が割れた瞬間、袖から、らっきょさんがタオル1枚で出てきて“お先に失礼します!”って風呂みたいに樽に浸かったんです。会場は爆笑でしたが、村田兆治さんだけは、キレていたそう(笑)」(前同)

■風雲!たけし城では対素人参加者の構図

 86年から放送の『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』(TBS系)では、一転して、たけし対素人参加者の構図を作った。

「“集団催眠みたいのがあって、そのテレビの枠の中に入れられると、結構みんなリアクションよくなるのね”(『SIGHT』より)と、素人のリアクションだけでも面白くなる『枠』を作ったんです」(前出の記者)

『たけし城』のプロデューサーだった桂邦彦氏は、番組制作の理由を、こう語る。

「たけしさんはガキ大将じゃないですか。じゃあ、悪ガキを集めて、たけしさんを倒そうと。これが、たけし城を作った理由です」

◆総工費は1億円

 TBSが所有する緑山スタジオの空いた土地に「たけし城」を建て、その周辺に関門を配置した。総工費は1億円といわれている。

「1億円は初期投資で、番組が続けば減価償却できるだろうと考えたんです。素人参加者を、いかに面白くコケさせるか、それを第一に考えました」(前同)

 ダンカンも関門を考えるスタッフの一人だった。

「関門は“頑張って粘れるけど、最後は失敗する確率が高くて、自然と面白くなる”のが理想。“面白く失敗してください”と指示を出しても、似たリアクションになるだけですから」

 桂氏によると、『たけし城』は「たけしの観察眼」で面白くなったという。

「ツービートの漫才を見て思ったのは、たけしさんはボケではなく、世間に対してツッコミを入れているということ。『たけし城』でも、参加者の一挙手一投足を観察してツッコミを入れることで、笑いが生まれる。即興性が高いから、予測できない面白さがあるんです」

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